県民一人一人の胸に「3・11」 千葉 津波被害の旭市では高校生朗読





海に向かい黙祷をささげる明智忠直市長(左)と篠塚奈那さん=11日、千葉県旭市横根(平田浩一撮影)
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 東日本大震災の発生から9年を迎えた11日、津波などで16人の犠牲者が出た千葉県旭市では高校生が海に向かって朗読を行い、犠牲者の冥福を祈った。今年は新型コロナウイルスの影響で県と市が共催する市内での合同追悼式が初めて中止に。県内全体で死者22人、行方不明者2人を出した大災害の記憶を忘れまいと、県民一人一人がそれぞれのやり方で犠牲者に祈りをささげた。

 旭市での朗読は飯岡海岸で行われ、高校の活動で市内の復興支援に取り組んでいる県立旭農業高校3年の篠塚奈那さん(18)が「津波は一瞬にして、家や建物だけではなく家族や友人、そして思い出も消し去る。震災の記憶を後世に残す。私たちは海とともに生きる、海の代弁者ですから」と力強く訴えた。明智忠直市長らも立ち会い、地震発生時刻の午後2時46分に黙祷(もくとう)をささげた。

 同市では、大震災翌年の平成24年から、県と市の合同追悼式を「いいおかユートピアセンター」で開き、例年、遺族を含む約200人が参列している。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、11日に行われる予定だった住民による追悼集会も中止された。

■キャンドルで追悼-習志野市

 習志野市の京成津田沼駅前では南口広場にキャンドルを灯し、午後2時46分から市民らが黙祷を行った。

 同市の追悼イベント実行委員会は当初、しの笛や和太鼓の演奏、歌なども計画していたが、新型コロナウイルスの感染を防止するため内容を大幅に縮小した。

 宮城県出身で同市在住の男性(64)は「自分は東北人だ。東日本大震災で友人が被害を受けた。黙祷だけはしたいと思っていた。復興を願っている」と話した。

 実行委員会の尾曽昭雄さん(76)は「故郷に戻ることができず、今も千葉県に避難している人が多くいる。これからも寄り添っていく。黙祷をして、その思いを強くした」と語った。

 尾曽さんらは避難者との交流会や、募金で野菜を購入して福島県の被災者に届ける活動などを続けている。

■知事・職員が黙祷-県庁

  県庁では地震が発生した午後2時46分に合わせて庁内放送が流れ、森田健作知事や職員が1分間の黙祷をささげて、犠牲者の冥福を祈った。

 旭市との合同追悼式の中止を受け、県庁や出先機関には半旗が掲げられ、職員が一斉に黙祷を行った。

 報道陣の取材に応じた森田知事は「新型コロナウイルスの感染拡大で合同追悼式を中止せざるを得なかったことは残念だ。しかし、亡くなられた方への哀悼の気持ちは私をはじめ、全県民が心の中に持っている」と語った。



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