新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今夏の東京五輪・パラリンピックの延期論が出ている。トランプ米大統領は12日、「1年延期した方がよいかもしれない」と発言。7月24日の開幕に変更はないと強調してきた国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は12日、独公共放送ARDのインタビューで、2月中旬から世界保健機関(WHO)の専門家と連絡を取り合っていると説明し、東京五輪を延期、中止するかは「WHOの助言に従うだろう」と述べた。
トランプ氏は13日、安倍晋三首相と電話会談した。トランプ氏は会談後、ツイッターで東京五輪が議題となったことを明らかにした上で「日本や偉大な首相にとって良いことがあるだろう。多くの選択肢がある」と書いた。
トランプ氏は東京五輪の会場施設が「素晴らしい」と伝えたことも明らかにし、「彼(首相)は驚くべき仕事を成し遂げており、誇っていい」と強調した。東京五輪の開催延期を提案したかには触れなかった。
日本側の説明では、首相が「開催に向けて努力している」と述べたのに対し、トランプ氏は「日本の透明性ある努力を評価する」と応じた。開催延期への言及はなかったという。首相は会談後、周辺に「トランプ氏が言いたいことは、日本の五輪開催を断固支持するということだ」と語った。
トランプ氏は12日、東京五輪を延期することが「無観客でやるよりも良い選択肢だ」と主張していた。
トランプ氏の五輪延期に関する発言に対し、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は「予定通り7月の安全、安心な大会開催に向けて準備していく」との談話を発表した。バッハ氏も、予定通り東京五輪を開幕できるよう、「全力で取り組んでいる」と強調した。
菅義偉官房長官は13日の記者会見で「予定通りの開催に向けIOCや組織委員会、東京都との間で緊密に連携しながら準備を着実に進めていく」と述べた。東京都の小池百合子知事も13日、報道陣に「東京都とすれば中止という選択肢は全くない」と強調した。