新型コロナ、外交にも影 会合の延期、開催法変更相次ぐ





茂木敏充外相。新型コロナは外交にも影を落とす

 新型コロナウイルスの感染拡大は外交にも影を落としている。日露間の平和条約締結交渉の日程調整が難航しているほか、国際会議も延期や開催方法の変更が相次ぐ。終息時期次第では、先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)といったビッグイベントもあおりを受ける可能性がある。

 「24日のワーキング・ディナーから始まって25日のワーキング・ランチと、これぐらいの時間を考えていたが、一定の時間的な制約も出てくる」

 茂木敏充外相は13日の記者会見で、3月24、25両日に開催予定だった先進7カ国の外相会合の日程に関し、こう語った。会合は感染の拡大を受け、米東部ペンシルベニア州ピッツバーグでの開催を取りやめ、25日に数時間のみ、テレビ会議を行う方向になったからだ。

 食事などを通じた外相同士の人間関係が交渉にも生きてくるだけに、外務省幹部は「本当は対面がいいが、仕方ない」とこぼす。

 ただ、テレビ会議で代替できるのは良い方だ。本部をスイス・ジュネーブに置く世界貿易機関(WTO)は職員1人の感染が判明したとして、20日までの全会合の中止を決定。この結果、18、20両日に予定していた日本の貿易政策を審査する会合もなくなった。

 また、政府が4月3、4両日に東京都内で開催を予定していた第6回国際女性会議「WAW!」は延期。同月20日から京都市内で開催予定だった国連犯罪防止・刑事司法会議(コングレス)も延期される方向だ。

 中国の習近平国家主席の春の国賓来日のキャンセルが象徴するように、二国間外交への影響も出ている。

 北方領土問題の解決を目指す日露間の平和条約締結交渉は外務次官級協議が開かれず、3月中とみられた茂木敏充、ラブロフ両外相の会談も日程が決まっていない。

 茂木氏はドイツ・ミュンヘンでの2月15日(日本時間16日)の日露外相会談では、ラブロフ氏の早期来日を調整することで一致。速やかに次官級協議を開くことも確認した。

 しかし、モルグロフ露外務次官が国内の感染防止対応に追われ、「平和条約の協議どころではない」(日露外交筋)状態。外相会談に先立つ森健良(たけお)外務審議官との次官級協議は見通しが立たず、3月下旬が想定されたラブロフ氏来日も調整が滞っている。(原川貴郎、力武崇樹) 



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