【TVクリップ】松丸亮吾 考えるくせで人生は無敵で楽しく





謎解きブームの火付け役として、考える楽しさを伝える。子供たちからも絶大な人気

 知識の豊富さを買われてクイズ番組に引っ張りだこの“東大生タレント”はあまたいるが、得意とする「謎解き」はひと味違う面白さと驚きがある。ひらめきが得られれば年齢や経験関係なく楽しめる、そんな頭を使ったエンターテインメント分野で一大ブームを牽引(けんいん)してきた。

 「謎解きをつくる上で大切にしているのは、小学生でも答えを導き出せるかどうかです。知識量を問う一般的なクイズは、そうはいきませんからね」

 背景には、4人兄弟の末っ子として過ごした幼少期の悔しさがある。テーブルゲームや対戦ゲームで、知識や経験の差がある兄たちに勝てず、けんかも語彙が足りずに言い負かされるばかりだった。

 ところが小学3年のある日、当時フジテレビ系で放送していたパズル・クイズバラエティー番組「脳内エステIQサプリ」を家族と見ていたところ、誰よりも早く問題を解くことができた。発想の転換が求められる謎解きに一気に興味を持ち、図書館で関連の本を次々と読破。小学4年で謎解きを自作するようになった。「僕が求めていたものはこれだって、夢中でした。自信になったし、考えること自体がすごく楽しくなった。その時の情熱が僕の原点です」と笑う。

 昨年、東大発の謎解き制作会社「RIDDLER」を立ち上げた。仲間とともにさまざまなメディアに謎解きを仕掛け、ファンと接する機会も増えた。子供たちには「考えるくせがつけば、人生は無敵で楽しくなるよ」とメッセージを送る。困難に直面することは誰にでもあるから、「そのときに、自分で考えるのは面倒くさいからといって、人から言われたことだけこなしていたのでは、自分の人生なのにもったいないでしょう」。

 謎解きがコミュニケーションの道具になっている親子も多いという。発想の自由さでは圧倒的に子供たちが有利だが、負けてばかりでは大人の面目が保てない。謎解きに挑む上で心がけていることは、「何かの思考にはまってしまうと抜け出せなくなる。少しでも詰まったら、そこにとどまらないことです」と話す。分からないときは、深く掘り下げようとするのは逆効果。「一度リセットして、カタカナだとどうかな、漢字だとどうかなというように水平に考えてみると、思わぬひらめきが見つかりますよ」。ぜひこのアドバイスを参考に放送を心待ちにしたい。

(石井那納子)

 まつまる・りょうご 平成7年12月19日、千葉県生まれ。東京大学に進学後、謎解き制作集団「AnotherVision」の2代目代表として団体を急成長させ、一大謎解きブームを生み出した。監修した謎解き本シリーズは累計120万部以上を売り上げる人気。現在は、「考えることの楽しさを全ての人に伝える」を目標に新会社「RIDDLER」を立ち上げ、仲間とともにさまざまなメディアに謎解きを仕掛けている。メンタリストのDaiGoは兄。



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