【京の桜】ゆっくりと花を愛でる 長建寺の糸桜 





見ごろを迎えた長建寺の糸桜 =17日午後、京都市伏見区の長建寺(永田直也撮影)
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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で府内でもさまざまなイベントや行事が中止・延期になっているが、京都の桜はいつものように開花していく。昨年秋からの記録的な暖かさから開花が進むさまざまな京都の桜をお伝えする。

 京都市内で最も早く咲くのが京都御苑(上京区)内の北にある近衛邸跡の枝垂れ桜だが、同じころ花を咲かせるのが、伏見の長建寺の糸桜だ。

 京阪本線中書島駅から歩いて数分の真言宗醍醐派の末寺。寺の前には宇治川の支流が流れ、今も観光用の十石舟の船着き場がある。

 戦後間もないころ、醍醐寺が桜の整備をした際、おすそ分けとして長建寺の境内にも2本の糸桜が植えられた。1本は健康な木、もう1本は病弱な木。手掛けたのは庭師でありながら桜の研究を続けた十五代佐野藤右衛門(とうえもん)さんという。

 病弱な木に、岡田豊禅(ほうぜん)住職(86)の父が近くの酒造会社から譲り受けた酒かすを与えたところみるみるうちに成長した。その後もさまざまな種類の桜を植え、境内にはソメイヨシノや黄桜などが順番に咲き、参拝者を喜ばせる。

 岡田住職は「最近の若い女性は風情がない。スマホで花びらの写真だけを撮って立ち去る。昔のようにゆっくり花を愛でてほしいものです」と余裕を見せた。

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