五輪スポンサー企業は23日、延期によるスポンサー料などの追加負担など、契約条項の確認を本格化させた。「大会ロゴの使用を認められているのは今年末までだが、来年以降に延期の場合は追加の使用料が発生するかもしれない」。あるスポンサー企業関係者は打ち明ける。
30年以上にわたって五輪トップスポンサーを務めてきたパナソニックは、東京五輪の開催を前提に準備を進めており「IOCなどと連携しながら、延期や中止の議論について動向を注視している」としている。
一方、ある金融系スポンサー企業は、訪日客が減少し需要や消費拡大が見通せない中、現時点で追加スポンサー料を払うだけのメリットが見いだせず、「延期となった場合に契約を更新するかどうかは分からない」という。
別のスポンサー企業の関係者は「大会に必要となる設備や機器の確保、調整などが振り出しに戻る」と心配する。「提供できないということはないだろうが、調整が必要になる関係先が膨大。大変な労力になるだろう」とみる。
五輪に合わせて新たな商品や技術の投入を予定していた企業も仕切り直しだ。キヤノンも大会向けに投入した新製品のキャンペーンなどが先送りに。大会中には全世界から訪れるプロカメラマン向けにメインプレスセンターに最大規模のサポート用ブースを設置する予定だった。
あるスポンサー企業関係者は「プロモーション活動や聖火リレーなどのイベントも再調整が必要になるだろう」と語る。新型コロナ対策でイベントを縮小・中止することになれば、期待していたPRの機会も失われることになる。
日本製紙連合会の矢嶋進会長(王子ホールディングス会長)は23日、五輪が延期されれば「期待していた需要がなくなり、経済効果がなくなる」と語った。