ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)は24日、ヤマトHDと物流サービスで業務提携すると発表した。インターネット通販サイト「ヤフーショッピング」や「PayPay(ペイペイ)モール」の出店者向けに、商品の受注から出荷までの業務をヤマトが代行できるようにする。ネット通販をめぐる競争が激しさを増す中、物流網を強化して、先行するアマゾンジャパンや楽天を追撃する。
物流代行サービスは6月30日から提供する。出店者の在庫をヤマトの倉庫で預かり、商品受注からピッキング、梱包、出荷、配送までのすべての業務を代行する方式と、出店者の持つ在庫をヤマトが取りに来て、梱包から配送までの業務を代行する方式がある。
利用料金は今後詰めるが、ヤマトの長尾裕社長は「コスト削減も含めた価値を提供したい」と24日の会見で語った。
ヤフーのネット通販の出店者は配送を自前で手配しているが、人手不足などで物流費が高騰し、負担が大きくなっている。代行サービスで物流コストのほか、出荷作業の負担の軽減や翌日配送の件数拡大にもつなげたい考えだ。
ZHDでは6月30日から12月まで、代行サービスを利用する店舗で商品を購入した人に、出店者が設定する配送料に相当する額のペイペイのポイントを付与し、実質送料を無料にするキャンペーンを行う。
ネット通販強化策としてほかにも、実店舗との連携なども進める。ペイペイモール上のオンライン店舗には出店者の実店舗の在庫情報が掲載されておらず、オンラインで商品が売り切れた際には実店舗に在庫があっても販売機会を失うケースがあった。今秋頃から実店舗の商品も含めてペイペイモール上で商品の検索、購入ができるようにする。
24日に会見したZHDの川辺健太郎社長は一連の取り組みによって「万年3位と言われたヤフーのネット通販だが、トップの背中が見えてくる」と述べ、5年以内に国内首位を目指す目標を改めて強調した。
ネット通販をめぐっては独自の流通網を持つアマゾンは多くの商品を自社で仕入れて販売しており、2千円以上の購入や会費を払えば送料を無料として売り上げを伸ばしている。楽天も18日から「楽天市場」で3980円以上購入すると送料が無料になる新制度を開始。ネット通販市場の拡大が進む中、各社とも送料を含めたトータルコストで競っており、カギを握る物流網の強化に動いている。