【記者発】児童虐待、毅然とした捜査を 大阪社会部・山本祐太郎

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千葉県野田市で小学4年の栗原心愛さんが虐待死した事件で、父からの暴力被害を訴えた学校アンケートの回答の写しが公開された。悲痛な叫びが大人たちに届くことはなかった。

千葉県野田市で小学4年の栗原心愛さんが虐待死した事件で、父からの暴力被害を訴えた学校アンケートの回答の写しが公開された。悲痛な叫びが大人たちに届くことはなかった。

 全国の警察が昨年1年間に摘発した児童虐待事件で、被害にあった18歳未満の子供は1991人にも上った。前年比で4割以上増え、過去最多。54人が死亡しており、児童虐待をめぐる状況は深刻さを増している。

 尊い命を奪われた1人が千葉県野田市の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)。千葉地裁は3月19日、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)に懲役16年(求刑懲役18年)を言い渡した。

 これまでの虐待事件で最も重い確定判決は傷害致死事件で懲役11年とされ、今回の判決はそれを大きく上回った。虐待は長期にわたり、暴行のほか食事や睡眠、排泄(はいせつ)も制限。心愛さんは死亡2日前から食事を与えられず、夜通し立たされ、シャワーで冷水を浴びせ続けられるなどした。

 心愛さんは学校のアンケートで「お父さんにぼう力を受けています」と訴えていたが、市教委はその写しをあろうことか父親に渡していた。懸命な「SOS」も届かず、虐待を受け続けた心愛さんの心中はいかばかりであっただろうか。犯行態様も極めて凄惨(せいさん)で、前例のない量刑も当然といえる。

 東京都目黒区で平成30年に船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が死亡した虐待事件でも、東京地裁が保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親に懲役13年の判決を言い渡した。悲惨な虐待事件には厳罰で臨むという流れが定着しているといえる。

 一方、虐待事件では無罪判決も相次いでいる。乳幼児が激しく揺さぶられることで、脳が頭蓋骨に打ちつけられて傷つく「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」に関する捜査当局側の主張が退けられるケースが多い。

 虐待事件は自宅などの密室で起こることがほとんどで、客観的な証拠を得ることが難しい。医学的な所見による虐待の証明が認められにくくなれば、立件のハードルはいっそう高くなるとの見方が捜査当局側にはある。

 無実の人を逮捕、起訴することは許されず、捜査当局には丁寧な立証が求められるのは当然だ。ただ、ハードルが高いからといって捜査が萎縮するようなことがあってはならない。それによって救われないのは被害に苦しむ子供たちなのだから。

【プロフィル】山本祐太郎

 平成16年入社。大津支局、神戸総局を経て、大阪社会部で事件・事故や行政取材などを担当。現在は大阪府警担当キャップ。

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