【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は29日午前6時10分ごろ(日本時間同)、東部の元山(ウォンサン)付近から北東方向の日本海に向けて飛翔(ひしょう)体2発を発射した。韓国軍合同参謀本部は、2発が短距離弾道ミサイルと推定されるとし、約230キロ飛行し、最高高度は約30キロに達したと明らかにした。北朝鮮は今月2日以降、ミサイル発射を繰り返しており、今年に入って4回目。
日本の防衛省は、日本の排他的経済水域(EEZ)には落下しなかったとの見方を示した。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、北朝鮮は国内統制を強め、軍の訓練にも影響を及ぼしたと分析される中、相次ぐ新型兵器の試射で軍の士気を維持する狙いとみられる。
北朝鮮は砲撃訓練の一環として、2日と9日に日本が短距離弾道ミサイルとみなす「超大型放射砲(多連装ロケット砲)」を発射。21日には、米国の戦術地対地ミサイル「ATACMS」に類似したミサイルを発射した。韓国軍当局は、飛行距離などから今回も超大型放射砲を発射した可能性があるとみて分析を進めている。
韓国軍合同参謀本部は、新型コロナで全世界的な苦境にある中、「北朝鮮の軍事的行動は極めて不適切な行為だ」と非難し、即刻中止を要求した。