米国と日本が2020年末の合意に向けて協議を進める予定の在日米軍駐留経費をめぐり、両政府が真意の探り合いを始めている。日米は口をそろえて「日米同盟はいまだかつてないほど強固だ」と断言するが、慣習にとらわれないトランプ米大統領の政権運営で、協議の着地点は全く見えていない。相手の腹の内を読み切れない両政府は、情報戦さながらの動きを展開している。(坂本一之)
米国務省関係者は、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になる前、東京都内で菅義偉官房長官に近い政府関係者と会談。在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について意見を交わした。
思いやり予算は、日本に駐留する米軍の一部経費を日本が負担するもので、日米両政府が5年ごとに負担内容を決めて特別協定を結んでいる。
現在の協定は来年3月に期限を迎えるため、今夏頃から事務レベルで協議に入る見込みだが、同会談では、どのような案が考えられるか意見を交わした。さらに米国務省関係者は、日本側で誰の意見が重要になるかを気にしていたという。
思いやり予算の協議は、日本が外務省と防衛省、米国は国務省と国防総省などが中心になって行うが、今回はホワイトハウスが昨年、現行(1974億円)の約4倍の負担を日本側に求めたと米メディアが報じている。
実際の協議を担う各省の関係者が相手の腹の内を探り、どのような交渉案をホワイトハウスや官邸に提案できるか情報収集をしている状況だ。
これまで米国の国務省や米軍は日本の思いやり予算を高く評価してきた。