二郎系ラーメンの独特文化、「武道ノリ」論争がネットで白熱

ラーメン二郎や二郎インスパイア系の店舗が持つ、しばしば物議を醸す独自のルールや、注文時の「コール」と呼ばれる独特のやり取り。こうした、いわゆる「二郎系ラーメン」の文化について、人気お笑い芸人たちが繰り広げた激論が、ラーメン愛好家の間で大きな話題となっています。これは単なる食の嗜好を超え、一種の社会的なカルチャーとして捉えられている現象と言えるでしょう。

お笑い芸人・永野が語る二郎系ラーメンの「武道ノリ」への違和感

この議論の発端となったのは、お笑い芸人の永野さんと令和ロマンの高比良くるまさんが出演する深夜バラエティ番組での一幕でした。番組に寄せられた「自分が客として認識されているのが嫌」「二郎インスパイア系のお店で、店員さんから『ヤサイ・カラメね』と言ってくるのに恐怖を感じる」という視聴者の悩み相談がきっかけとなり、二郎系ラーメンを巡るトークが展開されました。

知人に誘われて一度だけラーメン二郎に行った経験があるという永野さんは、まず店に並ぶ客の様子に言及。「なんで武道みたいなノリなの? ラーメン食うだけで並んでんのに、『武道である』って並んでんじゃん? あの人たち。『我ら武士である』みたいな。やってることって、ラーメン食ってるだけじゃねえかって」と、その雰囲気に疑問を投げかけました。

初体験でのトラウマ告白

さらに永野さんは、ラーメンを作る店員についても「師範みたい」だと指摘。自身の二郎初体験時のトラウマを明かしました。「いまだに忘れられないんですけど、(注文の仕方が)わかんなかったんです。お腹空いてるから『大盛り』って言ったら、『二郎初めて? 普通のほうがいいよ』って言われたんですよ、師範に。てめぇ、この野郎って! こっちがカネ払ってんだから、俺が大盛りだったら大盛りなんだって思って、それからもう行かなくなった」と語り、一度きりの来店で苦手意識を持ったことを告白しました。結果的に大盛りを完食できなかったとのことですが、永野さんはお店全体が醸し出す独特の「ノリ」を受け入れられないようです。

ラーメン二郎の文化について議論を交わすお笑い芸人の永野氏と令和ロマン・高比良くるま氏ラーメン二郎の文化について議論を交わすお笑い芸人の永野氏と令和ロマン・高比良くるま氏

令和ロマン・くるまが評価する「師範ビジネス」論

一方、大食いではないため普段二郎系には行かないというくるまさんは、永野さんとは異なる視点を示しました。「“師範ビジネス”は素晴らしいと思ってるんですよ、逆に俺は。あえて『接客は、いいほうがいい』っていうのをひっくり返して、こっちに引きつけさせて」と、その独自のスタイルを肯定的に評価しました。

「文化系」が求める「体育会系」への憧れ

くるまさんは、二郎系に並ぶ客層について分析。「二郎並んでるヤツって、見たら、大体ほぼ文化系みたいなヤツが並んでるじゃないですか。白くて細くて、どっかで体育会みたいなのに憧れがある人というか、どっかで武道の感じをやりたいんですよ。二郎に行ったことによって、僕も漢になったんだ! みたいな」と持論を展開し、二郎系の独特な文化が、ある種の憧れや達成感を求める人々を引きつけている可能性を指摘しました。

ネット上の共感とラーメンライターの見解

永野さんとくるまさんの二郎系ラーメンに対する意見は、X(旧Twitter)上でも大きな反響を呼びました。「確かにラーメン二郎の二郎系って何でそんな偉そうなのって思うよねw」「ラーメン二郎に行くことを想像しただけで緊張する。行ったことないのに。僕は近所の町中華で良いっすわ」など、永野さんの意見に共感する声が複数寄せられました。

2025年3月には、タレントのゆきぽよさんが別の番組で、初めて訪れた二郎系ラーメン店での経験がトラウマになり、それ以降一度も行けていないことを告白しています。ゆきぽよさんは食券購入後、店員に声をかけようとした際に「今じゃねえ!」と怒鳴られたこと、注文時の「マシマシ」「モリモリ」といった独特の「コール」に戸惑い、冷ややかな目で見られたことなどを明かし、それがトラウマとなったと語りました。

ゆきぽよさんが二郎系ラーメン店でのトラウマ体験を語る様子ゆきぽよさんが二郎系ラーメン店でのトラウマ体験を語る様子

一部の高圧的な接客と対応可能な注文方法

これらの体験談について、あるラーメンライターは次のように述べています。「ゆきぽよさんのケースは、気の毒としか言いようがありません。しかし、大前提として、ラーメン二郎や二郎インスパイアの店すべてが、そういう高圧的な接客なわけではありません。また二郎系は『残すと白い目で見られる』みたいな意見も耳にしますが、これに関しては、『永野&くるまのひっかかりニーチェ』の中で三谷紬アナが『私は麺を3分の1にして、野菜をちょっと足すとかしてます』と明かしていたように、先に店員に希望を伝えれば、お店側も対応してくれます。現に、三谷アナのように女性でも二郎系を楽しんでいる人もいるわけです」。全ての店舗が一様ではないこと、そして適切なコミュニケーションで注文内容の調整が可能である点を補足しました。

まとめ

ラーメンというカテゴリーの中でも、特に熱狂的なファンを持ち、その独特の文化がしばしば議論の対象となる「二郎」および「二郎系」。永野さんが感じる「武道ノリ」への違和感やトラウマ体験、そしてくるまさんが分析する「師範ビジネス」としての巧妙さや、客側の「体育会系」への憧れ。これらの異なる視点は、二郎系ラーメンが単なる食事の場ではなく、ある種の体験や文化的な要素を含んでいることを示唆しています。その独自の魅力と、それが故に生じる軋轢は、今後も多くの人々の関心を集め続けることでしょう。

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