滋賀患者死亡再審 元看護助手に無罪判決





西山美香さん

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で平成15年、男性患者=当時(72)=の人工呼吸器を外し殺害したとして殺人罪で懲役12年が確定、服役した元看護助手の西山美香さん(40)の裁判をやり直す再審の判決公判が31日、大津地裁で開かれ、大西直樹裁判長は無罪を言い渡した。

 患者が自然死した可能性があり、西山さんの自白も虚偽だった疑いがあるとして、再審が開始。再審公判で検察側は新たな有罪立証をせず、求刑を見送っていたことから、判決で無罪が宣告される公算が大きくなっていた。

 西山さんは、患者が死亡した翌年の16年、滋賀県警の聴取に「呼吸器のチューブを外して患者を殺害した」と自白し逮捕、起訴された。17年の大津地裁判決は自白調書の信用性や任意性を認め、死因を「酸素供給が途絶したことによる心停止」と認定。西山さんに懲役12年を言い渡し、最高裁で確定した。

 その後、弁護側が再審請求を申し立て。西山さんは29年8月に刑務所を満期出所した。同年12月、再審請求審で大阪高裁は、弁護側が新証拠として提出した医師の鑑定書などをもとに死因は「致死性の不整脈」による自然死の可能性があると判断。自白についても「刑事に好意を抱き、迎合して虚偽の自白をした可能性がある」とし、再審開始を決定した。

 今年2月から始まった再審公判で弁護側は、患者の死因について、不整脈や人工呼吸器の管のたん詰まり-などの可能性があると指摘。「西山さんが人工呼吸器のチューブを外した事実はない」と強調した。自白については「刑事への西山さんの恋愛感情を利用し、状況証拠に整合するよう誘導した」と批判。西山さんには軽度の知的障害などがあり、取り調べ時に自身の利益を守ることが難しい「供述弱者」だとも訴えていた。



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