新型コロナウイルスの感染拡大で、山本太郎代表率いる「れいわ新選組」が存在感を発揮できずにいる。“一丁目一番地”だった消費税減税を訴える意見が与野党から相次いでいる上、党勢拡大の原動力だった街頭演説も自粛に追い込まれたためで、次期衆院選に向け戦略の練り直しに直面している。(千田恒弥)
「政治家が本当に決断するときであり、勇気を持ってやるときが来ている」
山本氏は3月25日、党のインターネット番組でこう語り、与野党が協力して消費税率10%を一時0%に引き下げる法案を提出し、成立させるべきだと訴えた。
れいわは初の国政選挙だった昨年の参院選で比例2議席を獲得した。その際の看板政策が「消費税廃止(減税)」だったが、新型コロナの感染拡大を受け野党だけでなく与党の一部も生活支援や消費活性化を目的に消費税減税を主張。山本氏は「誰がゴールを決めるかだ」と述べ、“本家”としての自信をのぞかせるが、埋没は否めない。
全国各地での街頭や屋内での演説会の中止も痛手だ。2月に屋内集会の当面の中止を発表し、代わりにSNSなどで発信を続けるが、山本氏の持ち味である聴衆との一体感や熱気はない。山本氏も「街頭演説ができないのは本当に痛い」といらだちを見せる。
山本氏が非議員であることも国会での発言力低下につながっている。新型コロナ対策をめぐる政府・与野党協議会に少数会派のれいわは出席できなかった。
他党との関係も円満とはいえない。れいわは2月の京都市長選で共産党と共闘したが、共産の志位和夫委員長は3月31日の記者会見で、野党連合政権の樹立に向け各党党首らと個別に行っている会談を山本氏に断られたと明らかにした。
そんな中でささやかれるのが7月5日投開票の東京都知事選への山本氏の出馬だ。ただ、立憲民主党幹部は、れいわについて「他党にけんかを売る以外で自分の立ち位置を示せなくなっている。知事選で選挙をやらないと沈んでしまうのでは」と冷ややかに語った。