【経済インサイド】名門アパレル2社が窮地 米中の「モノ言う株主」に翻弄

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店頭売上高の前年同月比増減率

店頭売上高の前年同月比増減率

 アパレルの名門、レナウンと三陽商会が窮地に陥っている。売上高の半分以上を占める百貨店販売が低迷しているところに、消費税増税と暖冬、新型コロナウイルスの「三重苦」が追い打ちをかけているためだ。レナウンには、親会社との「トラブル」まで浮上。新型コロナの収束が見えず、経営改善の兆しがみられない。

 「あまり例を見ない手続きになってしまったことは残念」

 3月27日、レナウンが行った記者会見。神保佳幸相談役は自らの辞任の経緯を説明し、肩を落とした。

 神保氏は前日まで社長を務めていたが、会長の北畑稔氏とともに株主総会で取締役再任を否決され、役職を解かれた。後任には、毛利憲司取締役上席執行役員が就いた。

 神保氏が「あまり例を見ない」と述べたのは、反対の動議を出したのがレナウンに53%を出資する中国繊維大手、山東如意科技集団グループだったからだ。山東如意の邱亜夫董事長は、会長として毛利氏と経営再建にあたるという。

 神保氏は山東如意の反対について、「正しい結果が出せなかった中、資本業務提携から10年の節目に経営を刷新したかったのでは」と推測する。

 確かに、レナウンの業績は良くない。令和元年12月期(決算期変更のため10カ月の変則決算)の連結最終損益は、2期連続となる67億円の赤字。増税に加えて、暖冬で単価の高いコートをはじめとする「重衣料」の販売が不振だった。

 もっとも、前期の不振は山東如意の別の子会社で、香港に拠点を置く恒成国際発展から、綿や糸の売掛金53億円を回収できなかったことも大きい。レナウンによると、恒成国際が取引先の経営悪化で資金を回収できなくなった上、連帯保証を行っていた山東如意まで資金繰りに窮し、社債償還を優先。支払う意思は示しているものの、いまだに実行されていない。

 となれば、責任の一端は山東如意にもあるはずだ。しかも、神保氏は社長就任から1年もたっていなかった。それでも毛利氏は会見で「信頼関係は崩れていないものと信じている」と強調したが、何とも不可解と言わざるを得ない。

 そんな中で浮上しつつあるのが、身売り話だ。あくまで噂で真偽は定かでないものの、買い手候補の中には家具販売大手のニトリが含まれるほか、山東如意の大株主である伊藤忠商事の出方も注目される。

 「より、日中合体した上で事業を推し進めていく態勢ができた」。毛利氏はそう強調するとともに、有望分野の電子商取引(EC)に注力する考えを示したが、再建の行方次第では山東如意があっさり持ち株を手放す可能性も否めない。

 一方、平成27年に英ブランド「バーバリー」のライセンスを失い、再浮上のきっかけをつかめずにいる三陽商会にも、身売り観測が浮上している。

 同社は2月21日に、令和2年2月期(決算期変更のため14カ月の変則決算)の連結業績予想を下方修正した。本業のもうけを示す営業損益は、実に4期連続となる27億円の赤字。1月1日には岩田功社長が責任を取って取締役に降格し、中山雅之取締役兼常務執行役員が後任に就いた。

 そうした状況に業を煮やしたのが、株主の米投資ファンド、RMBキャピタルだ。昨年12月には、三陽商会の取締役会宛てに身売りを検討するよう求める書簡を送付した。

 RMBは「モノ言う株主」として知られるが、平成30年の株式取得からしばらくは目立った動きをしていなかった。そのRMBが身売り要求に出たのは、それだけ業績不振が深刻だと受け止めているからだ。

 RMBは売却先の具体名に言及していない。ただRMBの細水政和パートナーはインタビューで、「ポール・スチュアート」でライセンス契約を結んでいる三井物産や、経営再建を遂げて30年に再上場した同業のワールド、かつての提携先であるバーバリーを挙げている。

 RMBが売却提案を認めた翌日の2月13日、三陽商会は協議はしていないとする声明を出した。だがRMBは5月の株主総会で社外取締役派遣を提案し、経営への関与を強める考え。出資比率は約6%にすぎないが、賛同する株主が相次ぐ可能性は否定できない。レナウン同様、新経営陣は背水の陣の覚悟で再建に臨む必要がある。(経済本部 井田通人)

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