国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)によると、新型コロナウイルスの感染拡大で、日本を含む世界188カ国が全国的な学校閉鎖を強いられ、児童・生徒約15億4千万人が影響を受けている。こうした国々では、学校へ行けない子供のためにインターネットを使った授業が広く行われているが、パソコンの普及など課題もある。進学のための受験の機会をどう確保するかも対策を求められている。(ニューヨーク 上塚真由、パリ 三井美奈、ロンドン 板東和正)
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新型コロナの感染拡大で、大半の州で休校措置が取られている米国。教育現場では、オンライン授業への切り替えが本格化しているが、前例のない取り組みに保護者や教師も手探り状態だ。
ニューヨーク市郊外のウエストチェスター郡に住む小学3年生の児童(9)の1日は、午前9時に学習管理サービス「グーグル・クラスルーム」にログインし、出席を知らせることから始まる。同サービスでは教師がオンライン上にグループを作り、学習素材を提供したり、児童とメッセージをやり取りしたりすることができる。
担任の先生から1日の授業の課題リストが届き、科目は算数、英語、体育、音楽、美術などさまざまだ。体育や音楽などはユーチューブにあるビデオを教材として多く利用。美術の授業では先生自らが絵を描いている動画を児童に送り、「一緒に絵を描いてみよう」と呼びかけている。
オンライン授業は午前中までとなっているが、課題が多く、午後3時ごろまでかかる日もあるという。
中高生の場合は、ビデオ会議システムを活用し、オンラインを通じた「対面」での授業が増えることも特徴だ。リモート学習が始まって2週間がたち、保護者の日本人女性(37)は「子供は最初、目新しさもあって楽しみながらやっていたが、だんだんと集中力を維持するのが大変になっている」と話した。
ニューヨーク州では3月16日に公立学校の一斉休校を決め、同23日までに準備が整った学校からオンライン授業を始めている。課題となっているのは教育格差の解消だ。