新型コロナが都内選挙に影響「準備できない」 延期申し入れも





告示が12日に迫った目黒区長選。のぼりの下には消毒液が=3日午後、目黒区役所(吉沢智美撮影)

 新型コロナウイルスの影響が東京都内の選挙にも及び始めている。19日に告示される福生市長選で新人の支援団体は3日、市選挙管理委員会に「公正な選挙を行うことが難しい」と延期を申し入れた。12日告示の目黒区長選では現職陣営が「コロナ対応で準備ができない」と嘆く。投開票所や選挙事務所での「バンザイ」など、人が集まりやすい選挙のコロナ対策に関係者は頭を悩ませている。

 「感染拡大により、これまでの選挙活動はできない。有権者も知る機会が限られ、投票所に行くことができない事態も起こりかねない」。福生市長選の延期を申し入れた政治団体「基地のまちから教育・福祉のまちに…みんなの会」の山中正平会長は、本紙の取材に理由をそう説明した。

 市選管は「来週中に選挙管理委員会で検討し、回答を目指す」という。現時点では、消毒液を当開票所の入り口と出口に設置するほか、投票所で筆記用具の持ち込みを可能にするなどの対策を予定。選挙活動は「各候補者の判断で現状をかんがみた選挙活動をお願いする」としている。

 目黒区長選では、現職の青木英二氏(65)の陣営が「選挙戦に向けた打ち合わせができていない」。新人の1人は3日に予定した区民センターでの演説会が中止となり、代わりに演説を動画サイト「ユーチューブ」で配信するという。

 別の新人の陣営は「活動をしないと知名度が上がらない。選挙がやりにくく困っている」とため息をつく。また、ある陣営は当選後に選挙事務所で行う「バンザイ」について、「行わない可能性が高い。このご時世にバンザイか、と反発を買うのでは…」と話す。

 区選管によると、開票所に人が集まらないよう期日前投票を呼びかける予定。38カ所の投票所すべてに扇風機を設置し、記入台や筆記用具の消毒も行うという。ただ、「数時間後に状況が変わるので、対応しきれない」と担当者。

 総務省選挙課によると、過去に選挙が延期になったのは、阪神大震災と東日本大震災の後だけという。(本江希望、吉沢智美)



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