【ソウルからヨボセヨ】姿なきヒーロー

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公園を散歩する人々=4月8日、ソウル(AP)
公園を散歩する人々=4月8日、ソウル(AP)

 ピンポーンと玄関のチャイムが鳴ってドアを開けると誰もおらず、玄関先に宅配の小包だけが置かれていることがよくある。韓国の宅配業者の大半は1つでも多く配るため、客の受け取りを確かめないまま、次の配達先に行ってしまう。

 対面での受け渡しが基本の日本から来た身からすれば、無愛想だなといささか不満だったが、最近、認識が変わった。

 新型コロナウイルスの感染拡大後、各国で起きている買い占めが、韓国では不思議なほど起きない。スマートフォンで前日夜に注文した商品が翌朝には届くという配送網の発達が理由に挙げられる。韓国紙は「スマホを開けば、いつでも必要な物を手に入れられる心理的な安定感がある」と論じた。

 自宅にこもる人が増え、配達量が急増する中、玄関先に配達員への感謝の気持ちを記した手紙とともに、マスクや栄養ドリンクの差し入れを置いておく動きが広がった。「雨の日も雪の日も感染症が流行する今も必要な物を安全に届けてくれてありがとう」とのメッセージを配達員を描いた絵に添えて玄関に貼った子供もいたという。子供には、はやてのように姿も見せずに去っていくヒーローだ。

 今は玄関先にポツンと置かれた小包を目にすると、「ご苦労さまです」と感謝の念が先に浮かぶようになった。(桜井紀雄)

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