日本維新の会が「全国政党」に脱皮すべく、東京での地盤強化に乗り出した。東京都目黒区長選(12日告示、19日投開票)で、東京の首長選では初となる党公認候補を擁立する。大阪では圧倒的な強さを誇る維新勢力だが、全国的な支持の広がりには至っておらず、次期衆院選も見据えて東京を足掛かりに党勢拡大をもくろむ。
「名医であり、政治の浄化に向けて執刀をお願いしたい」
維新の馬場伸幸幹事長は3月25日の記者会見で、区長選で公認した新人の男性医師をPRした。選挙戦は、自民党が推す現職と立憲民主党などが支援する新人との“三つどもえ”の戦いになる見込みだ。
維新が東京の首長選で初の独自候補を立てた背景には大阪中心の「地域政党」と指摘される現状から抜け出したい事情がある。これまで東京では支持を広げられなかったが、昨夏の参院選では東京選挙区で音喜多駿氏、比例代表では柳ケ瀬裕文氏がそれぞれ当選。ともに都議経験者で、東京での票固めに貢献した。
維新はこの勢いを駆って区長選に名乗りを上げた格好だ。新型コロナウイルスの感染拡大で選挙戦が展開しにくく、苦戦が予想される。だが、他党からは「今回駄目でも知名度を上げて次期衆院選に候補者を出すつもりだろう」(立民関係者)と警戒の声が上がる。