決算発表、115社延期 東証集計、新型コロナ影響





東京証券取引所(桐原正道撮影)

 今月下旬から本格化する上場企業の3月期決算発表について、115社が当初予定から延期したことが17日、東京証券取引所のまとめで分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で出勤が抑制されるなどし、業績の把握に遅れが生じたためだ。今回の東証の集計に反映されなかった企業も多く、延期の動きは一段と広がる可能性がある。

 東証は2340社を対象に16日時点の報告内容を2週間前と比較し、発表日を遅らせるか未定としたケースを集計した。4月24日から5月8日に変更した野村ホールディングスのほか、日立建機や関西電力が延期。115社には含まれないが、ソニーや住友電気工業なども延期を表明した。

 4月中の発表を見込むのは284社にとどまる。ピーク日は417社が開示する見通しの5月14日で、次に多いのが翌15日の402社。ただ166社の発表予定日が未定・未連絡となっており、情勢は流動的だ。

 2020年3月期の業績は米中貿易摩擦や消費税増税の打撃に新型コロナが重なり、大幅な悪化が想定される。東京商工リサーチによると、3月期企業以外も含め、16日時点で新型コロナの影響により240社が業績見通しを引き下げた。引き下げは製造業95社、サービス業44社などで、純利益の合算では1兆4802億円に達した。

 auカブコム証券の河合達憲チーフストラテジストは決算発表の遅れに加え、事業環境が不透明なため21年3月期の業績予想を公表できない企業が続出すると指摘。経営成績を分析する材料が減り「暗闇の中で投資をすることになる」と株取引の低迷を危ぶむ。



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