原油価格マイナス転落…相場低迷に打つ手なし 供給過剰長期化も

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米カリフォルニア州沖の原油採掘施設=20日(ゲッティ=共同)

米カリフォルニア州沖の原油採掘施設=20日(ゲッティ=共同)

 【ワシントン=塩原永久】ニューヨーク原油先物相場で指標となる米国産標準油種(WTI)の価格がマイナス圏にまで急落し、一部の主要産油国がまとめた協調減産が相場低迷を反転させるとの期待は吹き飛んだ。新型コロナウイルスを受けた景気失速で、原油の供給が過剰となる状態が長引く恐れもある。原油相場の変調が新興国市場の攪(かく)乱(らん)要因となる懸念も拭えない。

貯蔵スペース、近く満杯

 20日にWTIの5月渡し価格がマイナスとなったのは、余剰原油をためる貯蔵スペースが乏しくなり、市場で5月に受け渡されるWTI原油の買い手が事実上いなくなったためだ。

 米メディアによると、米国の主要拠点となるオクラホマ州クッシングの貯蔵スペースが急速に減少しており、近く満杯になる見込みだ。また、原油需要が想定以上に落ち込み、米石油業者による供給削減が追いついていないことも、原油の投げ売り状態を招いた。

 今年初めに1バレル=60ドル前後だったWTIが記録的な落ち込みとなった背景には、新型コロナによる景気失速や主要産油国の減産合意が失敗してきた経緯がある。こうした中、サウジアラビアを盟主とする石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国による「OPECプラス」は12日、5~6月に日量970万バレルの減産に踏み切ることで合意。原油価格底打ちのきっかけになるとの期待も出ていた。

輸出新興国に打撃

 だが、米戦略国際問題研究所(CSIS)のベン・ケイヒル氏は「空前の需要減で楽観的な見通しは消えた」と指摘。供給過剰が続けば、世界的にも原油貯蔵スペースが7月中旬に底をつくという。ケイヒル氏は「貯蔵された大量の原油在庫が原油相場を下押しし続ける」と分析する。

 20日のWTIの6月渡しの価格は1バレル=20ドル前後で、この価格水準が当面続けば、石油大手の傘下に入っていない独立系石油企業の「80%が倒産する」(大手首脳)との見方もある。

 一方、原油相場低迷は、資源輸出による収入に財源を頼る新興国にも打撃となる。また、先行きを不安視する投資家が高成長の新興市場から資金を引き揚げ、すでに新興国から「1千億ドル(約10兆7千億円)規模の資本流出が起きている」(国際通貨基金=IMF)という。新興国市場の混乱が長期化すれば、新型コロナの収束後に期待される世界経済の回復を遅らせる恐れもある。

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