新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の緊急事態宣言の発令から21日で2週間を迎えたが、企業のテレワーク(在宅勤務)導入の動きは鈍い。オフィス勤務者の最低7割削減が求められるなか、現状は全国で3割以下、当初宣言の対象だった7都府県に限っても4割に届いていないとの調査もある。政府は人と人との接触機会を「極力8割」削減する目標を掲げるが、社内制度や通信機器の未整備が障壁になっている。(岡本祐大)
タイムカードなどの時間管理機器メーカーで働く30歳代の男性はほぼ毎日、神戸市から京都市に通勤している。テレワークこそ認められているが、担当先の自治体は納期を待ってくれない。「子供たちに自分が感染させてしまったら」。不安を抱えながら通勤を続ける。
一方、会社は分散勤務を理由に年次有給休暇を取得するよう要請。会社都合で休めというのにおかしいと掛け合ったが取り合ってもらえなかった。男性は「テレワークを受け入れる世の中になっていない」と感じているという。
パーソル総合研究所の調査では、緊急事態宣言発令後、正社員のテレワーク実施率は今月10~12日時点で27・9%。3月中旬と比べると2倍以上になったが、政府目標の7割にはほど遠い。
社内制度やICT(情報通信技術)環境が整備されていないという声が目立つほか、半数以上が「会社から特に指示が出ていない」と回答した。同研究所の小林祐児主任研究員は「危機感の底上げが必要。企業や職場ごとに危機意識の濃淡が存在するとテレワークは難しい」と指摘する。
内閣官房によると、主要地域の20日の人出も、宣言前と比べて、梅田(大阪市)周辺55・9%▽京都駅(京都市)周辺41・5%▽三ノ宮(神戸市)周辺35・1%-の減少にとどまっている。