政府が5年ぶりに改定する少子化対策の指針「少子化社会対策大綱」に盛り込む重点項目が23日、判明した。非正規雇用の増加を踏まえた若い世代の結婚や核家族化に伴う多子世帯への支援などが柱。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、医療従事者やひとり親など仕事を休むことが難しい家庭の子育て支援の重要性も指摘する。大綱は5月29日にも閣議決定する。
安倍晋三首相は、結婚して子供を産みたい人の希望が全てかなった場合の「希望出生率」を令和7年度までに1・8とする目標を掲げている。大綱では冒頭、昨年の出生数が86万4千人だったのを念頭に「86万人ショックを踏まえて国民共通の困難に真正面から立ち向かう」と明記する。
目標達成に向けた具体策として、(1)若い世代の結婚が希望する年齢でかなう環境整備(2)育児休業給付金の充実など仕事と子育ての両立支援(3)三世代同居など安全・安心の子育てシステム(4)児童手当や大学など多子世帯への経済支援-を掲げた。平成27年策定の大綱では待機児童解消のための保育の受け皿拡充などが中心だったが、少子化が進む現状を踏まえ、実際に子供を産み育てる両親への経済支援を一層手厚くする。
焦点の育休給付金については、衛藤晟一少子化担当相が所得税など免除分を含め給付水準「実質10割」の大綱明記を目指し、厚生労働省などと調整していたが、新型コロナ対策で政府の財政負担が膨らみ、一時は育休給付金自体への言及を見送る案も浮上した。
衛藤氏は加藤勝信厚労相を複数回にわたり説得。その結果、「育休給付金の充実を含めた制度のあり方」との文言を盛り込む方向で最終調整しており、将来的な引き上げに向けた余地を残すことで決着する見通しだ。