新型コロナウイルスの感染拡大対策として、青森市の情報技術(IT)ベンチャー企業「フォルテ」(葛西純社長)が人工知能(AI)と顔認証技術、温度感知センサーを組み合わせたカメラで体温測定と、マスク装着の有無を判別するシステムを開発した。感染拡大の抑止に向け、人の出入りが多い施設への設置が想定されるという。葛西社長は「(感染しているのではないかという)不安を可視化することで感染リスクの低減につなげたい」と話している。
開発したのは「新型コロナウイルス感染可能性者隔離誘導システム」と呼ばれ、ゲート認識方式と多人数同時認識方式の2種類。
ゲート式は施設入り口に設置し、タブレット端末型のAIカメラの前に立つと約1秒で顔認証と発熱の有無が判別できる。多人数式は同時に20~30人の顔の識別、検温が可能。病院やスーパー、学校、介護施設などへの導入を想定している。
例えば、病院の入り口に設置することで「37・5度」以上の人を検知すると一般外来を通さずに特別外来に誘導することができ「院内感染、クラスター(感染者集団)の防止にも役立つ」(葛西社長)。会社やスーパー、学校などでも社員、顧客、児童・生徒の体調チェック、勤怠管理に活用できるほか、測定結果を登録者情報としてクラウド上で管理すれば継続的な健康観察にもつながる。
価格はゲート式が14万8千円、多人数式は38万8千円。既に、全国展開する大手スーパーが今月中旬から導入を予定しているという。
開発に当たって同社は、長年培ってきたAI、ビッグデータ解析技術を駆使。このシステムを導入することで、駅や空港での不審者情報、テロ対策などにも活用できるとしている。葛西社長は「感染防止の水際対策のほか、企業の経済活動にも貢献できるのではないか」と話している。