新型コロナウイルスの感染拡大は、3日の憲法記念日に合わせたさまざまな立場の団体の活動にも影を落としている。埼玉県内の多くの団体は、感染拡大防止の観点から例年のような集会などは見送る予定だ。各団体は「自宅で憲法について考える機会にしてほしい」と呼びかけている。
改正推進派の「憲法改正推進埼玉地方議員の会」などは、憲法記念日に開催してきた署名活動の中止を決めた。今年は、活動に参加を予定していた有識者らによる討論会の様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」などで配信するという。
同会の伊勢田幸正事務局長は「インターネットを活用することで若い世代の関心も高めていきたい」と強調する。
憲法改正反対の立場を掲げる「九条の会・さいたま」は、憲法記念日に東京都内で開催される集会に例年20~30人程度の会員が参加してきた。ところが、感染拡大の影響で今年は集会が中止となり、代わりにジャーナリストや憲法学者のスピーチがライブ配信されることになった。
会のメンバーの一人は「中止は残念だが仕方ない。自宅で配信を視聴して、いろいろな方の話に耳を傾けたい」と話す。
今回の感染拡大を受け、緊急時の政府による権限行使強化を可能にする「緊急事態条項」を憲法に新設するよう求める声が自民党内などで起きている。こうした動きに主要野党は「究極の火事場泥棒だ」(共産党の小池晃書記局長)と反発を強める。前例のない災厄が突きつけたさまざまな課題は、今後の憲法改正論議の焦点になりそうだ。
(竹之内秀介)