米国務省のブルース報道官は22日、トランプ米政権が国連教育科学文化機関(ユネスコ)のアズレ事務局長に脱退を通告したと発表した。ブルース氏は声明で、ユネスコの施策が「米国第一の外交政策に反する」とし、ユネスコにとどまることは米国の国益に合致しないとの考えを示した。米国は第1次トランプ政権下の2018年に脱退したが、バイデン前政権が23年に再加入していた。
ユネスコ憲章の規定に基づき、米国の正式な脱退は26年12月31日になる。トランプ大統領は今年2月、ユネスコ加盟の可否を検討するよう指示する大統領令に署名していた。
ブルース氏は米国第一に反するユネスコの施策について「分断的な社会的・文化的主張を推進するために活動し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に重点を置き過ぎている」と説明。ユネスコがパレスチナを加盟国として認めていることが「組織内の反イスラエル的な言説の拡散を助長している」と非難した。
第1次トランプ政権は17年にユネスコが反イスラエル的だとして脱退を発表。イスラエルとともに18年末に正式脱退した。だが、米国不在のユネスコで中国の存在感が高まったことに懸念が広がり、バイデン前政権は23年6月に再加入の意向をユネスコ側に伝達。同年7月に認められた。(ニューヨーク支局)