〈独自〉台湾・蔡政権、駐日代表留任、駐米代表に蔡氏側近で最終調整 主要国との関係強化へ





謝長廷氏(飯田英男撮影)
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 【台北=矢板明夫】台湾の蔡英文総統は5月20日の2期目の就任式を前に、在外公館の代表(大使に相当)人事に着手した。台湾当局の関係者によると、駐日代表の謝長廷(しゃ・ちょうてい)氏(73)を続投させる一方、駐米代表に蔡氏の側近で総統の諮問機関「国家安全会議」諮問委員の●(=くさかんむりに粛)美琴(しょう・びきん)氏(48)を充てることで最終調整に入った。世界保健機関(WHO)の総会参加問題などで国際社会の台湾への関心が高まる中、主要国外交をさらに強化する狙いがある。

 台湾の民主化以降の駐日代表は、総統の任期に合わせ1期4年で交代するのが一般的で、続投は異例。謝長廷氏は行政院長(首相)経験者で、2016年に日本に赴任して以降、47都道府県を回り、日本の政、官、財界との関係構築に尽力。安倍晋三首相は今年に入り、国会で2回にわたり台湾のWHO総会へのオブザーバー参加に支持を表明した。首相の支持表明は謝氏の水面下での努力によるものと高く評価され、「日台関係の最もいい時期に謝氏を変えるべきではない」との声が与党、民主進歩党内で高まっているという。

 謝氏の続投が決まれば、日本が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟に向け、日本側に強く働きかけるとみられる。ただ、謝氏は「次世代の対日外交の人材を育てなければならない」と蔡氏に強調したといい、続投しても途中で若手と交代する可能性もあるという。

 一方、次期駐米代表に最有力となった●(=くさかんむりに粛)氏は、就任が決まれば台湾初の女性駐米代表となる。台湾人の父親と米国人の母親を持ち、英語が堪能。若い時から民進党内で対米外交担当のスタッフを務め、米国内に豊富な人脈がある。これまで立法委員(国会議員)を4期務めた。今年1月の選挙にも出馬したが落選し、4月に「国家安全会議」の諮問委員に就任した。蔡氏の親友としても知られる。

 トランプ大統領は就任直前の16年12月に蔡氏と電話協議を行った。米トランプ政権は近年、台湾を重視する姿勢を明確にしており、台湾側としては今後、蔡氏とトランプ氏の間で一層、緊密な関係を築きたい考えだ。台湾当局の関係者によれば、蔡氏は2期目の任期中に現職の米大統領との直接会談を実現することを目標にしているという。自らの親友を米国に派遣し、パイプ役になってもらいたいとの期待があるという。



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