相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件の公判で、横浜地裁が傍聴席を減らしたり、被害者らの大半を匿名にしたりしたのは問題だとして、刑法学者らでつくる「司法情報公開研究会」は、裁判公開原則の重視や傍聴機会の確保を求める請願書を最高裁に送った。
研究会によると、公判では被害者は1人を除き匿名で審理。84席の傍聴席のうち34席を遺族らに割り当て、一般席との間をついたてで遮った。この措置は結審まで続き、34席のうち多くが空席だった日もあったという。
請願書では、傍聴席の制限は「国民の傍聴の機会を著しく奪う」と批判。席が足りない場合は、別室からビデオリンクで取材、傍聴できる措置を取るべきだとした。
匿名審理も過剰だと指摘、被害者や家族全員が匿名を望んでいたかも疑問だとした。被害者保護は重要としつつ、裁判公開の重要性を認識してもらうため、裁判官と裁判所職員に研修を実施するよう求めた。