首都圏と北海道の商業施設や行楽地では24日、新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言を解除するかどうか、政府の判断を25日に控え、商品の陳列や掃除など営業再開に向けた準備が進められた。解除への期待が高まる一方、「客足が戻るとは思えない」といった不安の声も聞かれた。
東京都中央区の百貨店、松屋銀座。約1カ月半休業していたが、感染防止策が整ったとして、25日から食品売り場の営業を再開。従業員は24日、レジ前に客が密集しないよう、並び位置を示すマークを床に貼った。
食品担当の小松真一部長(52)は「流通の遅れもあり、大変だった。お客さまが一度に来たらと心配もあるが、安全の確保に努める」と話した。
東京・浅草の観光名物、人力車。老舗「時代屋」の車庫には25台の人力車が駐車されている。藤原英則社長(64)によると、4月から休業し、自宅でトレーニングを行っているという車夫たちも「体がなまるので早く再開してほしい」と営業再開を待ちわびているという。藤原社長は「宣言が解除されて、すぐ観光客が戻るのでしょうか」と不安も。解除にかかわらず、客足などをみて、再開時期を判断するという。
ラベンダー畑で有名な北海道中富良野町の観光農園「ファーム富田」の富田均社長(58)は「安全が担保されたわけではなく、『第2波』の心配もある。どうぞ来てくださいと言う気持ちにはまだなれない」と漏らした。