【経済#word】食料安定供給不安 コロナ余波 輸出国が規制






 新型コロナウイルスの感染拡大は、食料の安定的な供給を確保する「食料安全保障」にとっても脅威だ。農林水産省によると、今月20日時点でロシアなど14カ国が農産物・食品の輸出制限を実施し、食料囲い込みの動きがみられる。日本への影響は今のところ軽微だが、過度な楽観も禁物だ。日本は国内の食料供給に対する国内生産の割合を示す食料自給率が先進国で最低水準という現実があり、食料の安定供給に向けて不断の備えが求められる。

露など14カ国実施

 「農産物・食品の輸出制限や同様の貿易制限的な措置は、予測不可能な貿易環境を生み出し、食料の入手可能性に悪影響を与え、価格の高騰や乱高下、重要な食料の不足をもたらす」

 日本を含む世界貿易機関(WTO)の23の有志の加盟国・地域が4月22日発表した共同声明は、新型コロナ感染拡大に伴う農産物・食品の輸出入の制限に牽制(けんせい)球を投げる内容となった。

 輸出制限を実施している14カ国はロシアやウクライナ、エジプト、トルコ、ミャンマー、カンボジア、エルサルバドルなど。自国民への供給を優先する狙いがあるとみられる。ロシアは世界最大の小麦輸出国で、4~6月は小麦などの輸出に対し、1~3月実績の約720万トンをやや下回る700万トンの枠を設けた。

 WTO協定は輸出制限について原則として禁止とした上で、輸出国にとって不可欠な品目の危機的な不足を防いだり緩和したりするために一時的に課す場合は認められるとしている。

 食料に限らず、日本政府は新型コロナに伴う輸出制限について、世界経済に悪影響を及ぼさないよう、必要がなくなった段階で極力速やかに解除する「出口戦略」が重要との姿勢だ。

相場安定も注視必要

 2008年には、穀物価格の高騰により、世界的に食料危機が叫ばれた。食料自給率が低く経済的に貧しい国を直撃し、不満を募らせた民衆による暴動やデモが頻発。カリブ海の島国ハイチでは、議会が首相を解任する事態に発展した。

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