茨城県、新たな産業廃棄物最終処分場の候補地に日立市選定


 茨城県は26日、新たな産業廃棄物最終処分場の候補地に日立市諏訪町を選定したと発表した。大井川和彦知事は記者会見で「候補地は私の育った場所だ。県が責任をもって安心安全な施設を整備する。ご理解ご協力をお願いしたい」と呼びかけた。ただ、日立市の小川春樹市長は難色を示しており、設置に向けた調整は難航する可能性がある。(永井大輔)

 県によると、新たな処分場は令和7年度から23年間の稼働予定で、5年ごろの着工を目指している。少なくとも、現処分場の「エコフロンティアかさま」と同等の基準を満たす施設を想定しており、整備費は200億円程度としている。地域振興などの対策も必要に応じて行うため、増額する可能性もある。

 県は今後、日立市と相談しつつ、住民への説明会やエコフロンティアかさまの見学会などを開き、理解を求めていく方針だ。大井川知事は「受け入れ自治体からすれば来てほしくない施設だろう。ただ、県全体では必要な施設でもある」と理解を求めた。

 県は昨年8月、基本方針を策定、有識者による客観的見地に基づき、県内全域から適切な地域の選定を行っていた。今年2月には「日立市諏訪町」「常陸太田市和田町」「城里町上古内」の3地域まで絞り込み、5月には自然・生活環境への影響や事業効率性の観点から最適と判断した日立市を整備候補地に決めた。具体的には、水が浸透しにくい強固な岩盤があることや、候補地周辺の300メートル以内に住居がなく、生活環境への影響が少ないことが主な理由となった。

 これに対し、日立市の小川市長は同日、「誠に不本意であり、厳しく受け止める」などとするコメントを発表。「環境の保全には最大限の配慮が必要」とした上で「地元住民や各方面の理解なしには進められない」との立場を示した。同市は平成17年に環境都市宣言をしており、市民の環境への意識も高い。住民の理解を得るための調整は難航しそうだ。

 エコフロンティアかさま 笠間市福田に平成17年8月開業。廃棄物の埋立容量は約240万立方メートル。31年3月末時点で約64%が使用されており、県は令和7年度中には満杯となるとみている。廃棄物による汚水が岩盤や地面へ漏れ出さないための遮水工を4重構造(国の基準は2重)とするなど、廃棄物の受入基準や排水基準、排ガス基準を国の法令より厳しく設定している。



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