9月入学 与党で強まる慎重論 自民WT「今年度・来年度の導入見送りを」





自民党・岸田文雄政調会長=27日午後、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

 自民党は27日、新型コロナウイルスの影響で政府が導入を検討する「9月入学制」に関するワーキングチーム(WT)を開き、今年度と来年度の導入を見送るよう求める提言原案が示された。WTは同日の提言案の了承を見送ったが、公明党は来週にも拙速に導入しないよう求める提言をまとめる方針で、与党で慎重論が高まっている。

 出席者によると、自民党WTの原案では、直近の導入を見送るよう求めたうえで、政府に対し教育再生実行会議で秋入学の可能性を検討すべきだと指摘した。

 会合では「今年度や来年度に、必要な法改正や人員整備に決着をつけるのは難しい」といった意見が多数を占めたという。WTでは提言案の内容を再協議したうえで、6月上旬にも政府に提出する方針。

 WTの座長を務める柴山昌彦前文部科学相は会合で「緊急事態宣言が全国で解除される中(9月入学を求める)世論にも微妙な変化が生じている」と述べた。

 9月入学をめぐっては、4月を基準とした日本の会計年度と入学時期がずれることなどへの懸念が指摘されており、自民党の中堅・若手議員約60人が22日、「拙速な議論に反対する」との要望書を岸田文雄政調会長に提出した。

 公明党も27日に「拙速な導入を行うことに妥当性は認められない」との提言骨子を作成した。来週にも党の会合で提言案をまとめ、政府に提出する。

 山口那津男代表は「時間をかけた議論が必要」と慎重論を展開。党幹部も「9月入学は教育現場などに強いるコストが大き過ぎる。学びの遅れは別の方法で取り戻せる」と拙速な導入をしないよう求めている。

 安倍晋三首相は25日の記者会見で、9月入学について「有力な選択肢の一つと考えるが、慎重に検討していきたい」と述べている。



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