日立製作所が29日発表した令和2年3月期連結決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が前期比7・5%減の8兆7672億円、最終利益は60・6%減の875億円と減収減益だった。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が売上収益を1461億円押し下げる減収要因となったことなどが響いた。日立建機や日立金属といった上場子会社の不振も足を引っ張った。
東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は、インターネットによる決算記者会見で、「新型コロナの影響を除くと比較的順調に収益性は高まっている」と強調。「特に昨年1月に英国の原子力発電所新設計画の凍結、12月には南アフリカの火力発電事業の損失負担をめぐる三菱重工業との和解があり、これで経営の足かせになるようなことはなくなり、大きな成果があった」とも語った。
3年3月期の連結業績予想は、売上収益が前期比19・2%減の7兆800億円、本業のもうけを示す営業利益が43・8%減の3720億円に落ち込むと発表。新型コロナの影響で売上収益が1兆200億円、営業利益で3010億円それぞれマイナスになると予想した。一方、最終利益は前年の三菱重工との和解損失がなくなるなどの理由で約3・8倍の3350億円と見込む。
河村芳彦専務兼最高財務責任者(CFO)は「新型コロナの厳しい環境下で営業利益をきちんと出している」と評価した。