【北京=西見由章】トランプ米政権が香港への優遇措置の見直しを打ち出したことについて、中国共産党系の環球時報(電子版)は30日の社説で「(米国の制裁を)どこまででも受けて立つ」と強気の姿勢を示した。中国としては、米中対立の激化に伴う悪影響も許容できる範囲内に収まるとの読みがある。
中国の習近平指導部は香港を「国内問題」とみており、「安定」を重視して国家安全法の導入を断行した。香港の反政府デモで混乱が長引けば、党への弱腰批判につながりかねない。
米国が一国二制度の香港を内政干渉の拠点として利用し、反政府デモを支援しているとの被害者意識を中国側は持つ。国家安全法の導入には、外国の干渉を許さない強い姿勢を誇示する狙いもある。
中国指導部にとって、香港の繁栄が絶対に手放せないものではなくなりつつあることも大きい。
1997年の返還時、香港の経済規模は中国の約2割に匹敵したが、近年は2%台で推移。2018年には隣接する広東省深●(=土へんに川)(しんせん)市に名目GDPで抜かれた。英シンクタンクが19年に発表したグローバル金融センター指数によると香港は3位だが、上海が5位、北京は7位と中国本土の都市も順位を上げている。今後、中国本土で金融開放が進めば香港の地位は相対的に低下していく可能性がある。
香港には多くの米企業が拠点を置いており、中国には、米国が大胆な制裁措置を打ち出せないと高をくくっている節もある。