平成26年、岩手県奥州市の市立診療所の男性医師=当時(66)=が自殺したのは過労による精神疾患が原因だとして、男性の妻が公務災害(労災)と認定するよう求めた訴訟の判決で、盛岡地裁(中村恭裁判長)は5日、請求を認めた。「公務外」とした地方公務員災害補償基金岩手県支部の決定を取り消し、同支部長(達増拓也知事)に公務災害認定を命じた。
訴状によると、男性は22年7月から診療所に勤め、25年1月以降は唯一の常勤医となった。1日平均約80人の外来患者を診察し、休日も入院患者のために出勤。双極性障害(そううつ病)となり、26年6月に自殺した。
妻は公務災害の認定を求めたが、基金側は28年2月、「業務で強度の負荷を受けたとは認められない」と退けた。審査請求などでも結果は覆らず、妻は30年に提訴した。