平成27年は、「ご当地アイドル界」に光を与える出来事から幕を開けた。「最強の地下アイドル」を名乗る東京・秋葉原のアイドルグループ「仮面女子」が『元気種☆』で1月1日付のオリコンシングルチャート週間1位を獲得。インディーズの女性グループとしては史上初の快挙を達成した。25年に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」ブームに乗ったご当地アイドルが、再び全国に脚光を浴びた瞬間だった。
奈良と堺の中間点
そんな中、“アイドル不毛状態”が続く関西では、ご当地アイドルたちが拠点作りを進める動きが活発化していた。
奈良を拠点にする「Le Siana(ルシャナ)」と大阪の堺・泉州を拠点にする「Culumi(クルミ)」の両グループを運営する芸能事務所「SAKURA entertainment」(大阪府東大阪市)が、近鉄布施駅(同市)近くに活動拠点となる専用劇場「A-kukan」をオープンさせた。
同事務所は両グループの定期公演を行うほか、ほかの事務所のグループも呼ぶなど、さまざまなイベントを展開するようになった。
両グループのプロデュースを手がける福本裕介さんは「レッスンスタジオとイベントスペースを集約させた。自前で使える場所があれば、いろいろな冒険ができる」と話した。一方、布施を拠点にした理由を尋ねると、布施は奈良と堺の中間点にあり、競争が激しい大阪市内を避けたかったとの思惑があった。布施駅は近鉄大阪難波駅から電車で約10分、という利便性もあった。
「この場所に来れば会える」
26年末に結成された「まいどリームス(現・まいどり)」は、大阪のシンボルタワー・通天閣(大阪市浪速区)の地下にある「STUDIO 210(ツーテン)」を拠点にし、姉妹グループ「ハンバーガールZ(ゼータ)」とともに定期公演を行っていた。
STUDIO 210はもとの「通天閣歌謡劇場」で、劇場が閉鎖された25年以降、動向を注目していた。そうした中、土産物店が並ぶ「通天閣わくわくランド」と合わせ、小規模のイベントスペースが開設され、気がつけば「通天閣アイドルの聖地」に生まれ変わった。
また、同時期に結成された大阪・ミナミを拠点にする「minAmin(ミナミン)」は、「TSUTAYA EBISUBASHI」(大阪市中央区)6階のイベントスペース「えびすばしホール」に拠点をすえた。
多くのご当地アイドルにとって、活動拠点を設けることは重要な要素だ。
ライブ活動を中心にしている関西のアイドルたちは、“流浪の民”のようにライブハウスを転々としていることが多い。ファンたちにとって「この場所に来れば会える」という活動拠点があることは、大きな安心感につながる。