「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家で、平成30年5月に急性覚醒剤中毒で死亡した和歌山県田辺市の酒類販売会社元社長、野崎幸助さん=当時(77)=の「全財産を市に寄付する」とした遺言書について、野崎さんの兄(86)ら親族4人が無効確認を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、和歌山地裁(伊丹恭裁判長)で開かれた。
被告は和歌山家裁田辺支部が遺言執行者に指定した弁護士。
訴状によると、遺言書の作成は25年2月8日付。コピー用紙1枚に赤ペンで手書きされ熟慮の末に作成したとはみられず、保管や発見された経緯も不自然などとし「野崎さん以外が遺言書を作成し無効だ」としている。
市によると、遺産は約13億5千万円とみられ、30年に市職員が和歌山家裁田辺支部で遺言書を確認。今年3月の市議会で弁護士委託料など寄付受け取りの関連費約1億1700万円を含む令和2年度当初予算を可決した。
野崎さんは生前、半生や女性関係をつづった著書を出版。欧州の伝説のプレーボーイになぞらえられた。県警が不審死として捜査を続けている。