東京都の小池百合子知事(67)は10日、最終日を迎えた都議会定例会で、今月18日告示、7月5日投開票の都知事選への再選出馬表明を見送った。当初は10日に新型コロナウイルス対策の補正予算案可決を受けて議場で表明することが有力視されていたが、感染者が2桁台で推移している現状などを踏まえ、告示まで1週間と迫る中でタイミングを慎重に検討している。
「そんなことは、言っていません」。小池氏は10日、報道陣の取材に対して、不快感をにじませた。前日夜に都内の日本料理店で開かれた自民党の二階俊博幹事長、小泉純一郎元首相、山崎拓元党副総裁らの会食の場に電話して出馬の意向を示したという出席者の発言内容を否定し、表明のタイミングには「まだコロナもいろいろ動いてます」と明言を避けた。
小池氏はこの会食の常連メンバーではあったものの、都として「東京アラート」を発動して夜の街での感染リスク回避を呼びかけている中で出席しなかった。都関係者は「立場上、夜の会食出席は批判が起きかねない。知事はコロナに関しては細心の注意を払っている」と指摘する。
小池氏は感染第1波の際には緊急記者会見を重ね、「感染爆発 重大局面」などと発信力を発揮して不要不急の外出自粛などを要請。「人命最優先」の立場を鮮明にし、休業要請の際には経済のダメージなども懸念する国との間で施設の線引きや要請時期で綱引きを行った。新型コロナ対策費はこの日可決された補正予算を含め、1兆円を超えている。
休業要請を段階的に緩和する「ロードマップ」に沿ってステップ2(第2段階)に移行したものの、6月は2桁台が続いている。都関係者によると、来週以降も新型コロナ対応を中心に公務日程が組まれる見通しだといい、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会の関係者は「強い発信力と、現職としての実績があるため、出馬表明は告示日前日でも問題ない」との強気の姿勢をみせる。
知事選には既に立憲民主、共産、社民の3党が支援予定の元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)や、日本維新の会が推薦する元熊本県副知事、小野泰輔氏(46)らが名乗りを上げている。自民党の二階幹事長は小池氏の要請があれば推薦する意向を示している。