日々流れる暗いニュースに気が沈み、「世の中が怖い」と書く52歳の女性。生きることが苦しく、「早く寿命が尽きてくれないか願っている」という。そんな女性に鴻上尚史が勧める、具体的な対処方法を見つけるための手段とは。
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【相談264】
世の中が怖く、一人で取り残されていくような感覚になり、生きることが苦しいです(52歳 女性 かな)
鴻上さん、こんにちは。52歳、事務職をしています。
最近、ニュースを見ては世の中の状況を憂い、気が落ち込みます。犯罪ニュースを見ると、なぜか加害者の状況に思いを巡らせ、辛くなりながらその後の記事を追い、さらに落ち込みます。こんな事件が起こってしまう世の中に子どもを産んでしまったことに罪悪感を覚えます。誹謗中傷のコメントを読み、世の中の是とされているものが何であるのかよく理解できず困惑するばかりです。
何年も前から、早く寿命が尽きてくれないかと願っていますが、自分でそれをして夫や子どもたちに迷惑をかけたり嫌な思いをさせたりすることを考えるとそれもできない……というかそんな勇気もありません。でも、生きることがただただ苦しいです。自分の能力や容姿の低さが世の中に通用しなくなっていく感じがしています。
世の中が怖い。私のような人間が生きていく術がいまの世の中に残されているのでしょうか。
【鴻上さんの答え】
かなさん。混乱していますね。まず、かなさんが何に苦しんでいるのか、整理してみませんか。
まずは、
1 暗いニュースが多くてつらい。
2 そんな世の中に子どもを産んだことに罪悪感を感じる。
3 コメントを読んでも何が正しいか分からない。
4 自分の能力や容姿の低さが世の中に通用しなくなっていく感じがする。
その結果として、
A 早く死にたいが、夫や子どもに迷惑をかけたくない。
B 生きることが苦しい。
C 世の中が怖い。
結果として知りたいのが、
● 私のような人間が生きていく術が、今の世の中にあるのか。
ということですね。