自民党の下村博文選対委員長が会長、稲田朋美幹事長代行が幹事長を務める新型コロナウイルス収束後の社会や国家像について考える議員連盟の設立総会が11日、国会内で開かれた。議連を率いる両氏は、安倍晋三首相の出身派閥で党内最大の細田派(97人)に所属。いずれも「ポスト安倍」を目指しているだけに動向が注目されている。(広池慶一)
「大胆な発想の国家ビジョンづくりが求められている」。下村氏は総会冒頭、議連設立の意義をこう強調した。稲田氏も「新しい日本の社会像を示していくのが私たちの役目ではないか」と語った。
総会には、二階俊博幹事長や鈴木俊一総務会長ら184人が出席。稲田氏自ら電話で参加を呼び掛けるなど奔走し、目標としていた150人を上回った。呼び掛け人の一人は「派閥横断的でインパクトがあった」と手応えを口にする。
協議する政策テーマは、テレワーク促進などの働き方改革や「9月入学制」導入を含めた教育改革、憲法改正など12項目。必要に応じて令和3年度予算編成の指針となる「骨太方針」に反映させたい考えだ。
一方、コロナ後の社会像を議論する党政務調査会直轄の「新国際秩序創造戦略本部」(本部長・岸田文雄政調会長)も11日、会合を開いた。岸田氏は戦略本部には出席したが、下村氏に招かれた議連の設立総会は「都合がつかない」として欠席した。
コロナ後を議論する組織が並び立つ現状について、党内には「ポスト安倍」を意識した動きとの見方もある。盛況だった設立総会に出席した党幹部は、帰り際にこうつぶやいた。
「権力闘争のためのものか、政策を議論するためのものか。それをみんな見に来たんじゃないのか」