休演続く歌舞伎俳優 オンライン興行で独自コンテンツ次々



「歌舞伎家話」5月29日の配信では、松本幸四郎さん(右)と尾上松也さん(左)が「凄艶」について熱く語った(松竹提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、歌舞伎公演は3月から休演が続いている。再開の見通しはまだ立たないが、オンラインに活躍の場を求める歌舞伎俳優も出てきた。(三宅令)

 「文化は人に寄り添い、日常に存在するから文化だと思う」

 歌舞伎俳優の松本幸四郎さん(47)は、オンライントーク企画「歌舞伎家話」の有料生配信を5月29日から、動画配信サービス「Streaming+」(ストリーミングプラス)で始めた。歌舞伎俳優による“オンライン興行”は史上初の試みだという。

 休演が続くなか、日常における歌舞伎の存在感は薄れつつあった。「(一度忘れられれば)感染が収束したとしても、歌舞伎を取り巻く環境が元に戻るとは思えない」といい、「文化は平和な時だけでなく、つらいときにも必要とされる。歌舞伎が日常にあり続けるためにも、オンラインでの活動を始めたのは自然な流れだった」と話す。

 「歌舞伎家話」は、以前から定期的に行われていた人気トークイベント「歌舞伎夜話」のオンライン特別編だ。14日に行われる第3回はゲストとして市川猿之助さん(44)が出演。チケットの売れ行きは好調だが、「他にもやりたいことがある」とオンライン興行は対談企画にこだわらない。

 「実は、歌舞伎演出のドラマができないか、というのは20年以上前から考えていた」と明かす。今後は「画面を通すことによって完成する芝居を生配信したい」と笑い、「時代に即したエンターテインメントがやりたい。実現するのに良い機会かもしれない」

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