【一筆多論】中国がTPPに加わる日 渡辺浩生

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中国全人代の閉幕後、記者会見する李克強首相=28日、北京の人民大会堂(新華社=共同)

中国全人代の閉幕後、記者会見する李克強首相=28日、北京の人民大会堂(新華社=共同)

 5月28日に閉幕した中国全国人民代表大会(全人代)は、香港への国家安全法導入の決定に世界の関心が集中した。その陰で李克強首相が語った短くも気になるメッセージがあった。

 「中国は前向きで開放的な態度を取っている」

 閉幕時の記者会見。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加意欲を問われた答えだが、中国首脳がTPPの公式見解を示したのは初めてという。加盟国の大使は「大変興味深い発言」と筆者に語った。

 メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナムなどが加盟するTPP。トランプ米政権が2017年に離脱を宣言し、以後は日本の主導により米抜きの11カ国で18年末の発効にこぎつけた。

 一方で中国は日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)などによる経済圏を目指す東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉妥結を急いできた。それなのに今、TPPにも秋波を送ったのはなぜか。

 考えられるのは、自らへの包囲網を形成する米国への牽制(けんせい)であろう。

 全人代閉幕直後の5月末、トランプ政権は先進7カ国(G7)に豪印露韓を加えた拡大構想を表明した。新型コロナウイルスの発生源となった中国への敵対的な世論を受けた封じ込め策の一環とみられる。香港の取り込みを急ぐ習近平指導部への国際的非難や対抗措置も主導している。

 折しも、コロナ禍で世界経済のデカップリング(切り離し)が進む。中国依存リスクも欧州などで顕在化した。アフリカまで広げた「一帯一路」構想も各地でほころびが目立つ。逆風の中、習指導部が着目したのが、もともとオバマ前政権が中国の台頭に対抗して推し進めたTPPだった。

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