政府は16日の閣議で、令和2年版観光白書を決定した。新型コロナウイルス感染症の拡大につながる密集を防ぐため、特定の時期や場所に観光客が偏らないよう休暇取得の分散化を目指す方針を打ち出した。人同士の接触機会を減らし、感染リスクを下げる新たな旅行スタイルも検討するとした。
今年4月の訪日客はわずか2900人で前年同月比99・9%減。国内旅行も大幅に減り、旅行・宿泊業に加え、地域の交通、飲食、物品販売など多くの産業が深刻な打撃を受けている。
白書は、国内観光が当面「需要回復の鍵」と強調。各国の感染収束を見極めながら、誘客可能な国からPR活動を始めるとした。
休暇分散化は、交通機関や観光名所の混雑緩和も期待できる。政府はこれまでも分散化目標を掲げてきたが、進んでおらず、白書は旅先で休暇を兼ねてリモートワークを行う「ワーケーション」など、働き方改革にもつながる形を生み出すとしている。