【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会は15日、従業員1万5千人以下の中堅・中小企業を対象にした「メインストリート貸出制度」と呼ぶ融資制度の受け付けを始めた。最大6千億ドル(約64兆4千億円)を民間銀行を通じて融資し、新型コロナウイルス感染拡大で悪影響を受けた企業の運転資金を支える。
3月に成立した大型経済政策で、米政府は、従業員500人以下の中小企業を対象とした資金繰り支援策を実施した。FRBの新たな貸出制度は、支援先をより規模の大きな企業に拡大した形となる。
新制度では、中堅・中小企業への銀行融資のうち、95%をFRBが設立した特別目的事業体(SPV)が買い取る。FRBは15日、新制度の支援対象に、非営利組織(NPO)を加えると発表した。
米政府による従業員500人以下の中小企業向け支援は、雇用規模を維持するなどの一定条件を達成した企業は、融資の返済が免除される事実上の補助金となる。一方、FRBによる従業員1万5千人以下の中堅・中小向け新制度では、返済免除の仕組みはない。
これまでの経済危機でFRBは、資金の仲介機能を担う金融機関への「最後の貸し手」として民間支援に参画してきた。今年3月以降のコロナ危機では、実質的に事業会社への直接融資に踏み込んでいる。FRBが損失リスクを負うことになるとの懸念もあり、パウエル議長も「レッドラインを越えた」と認める発言をしている。