「僕サーズ」聞き間違えられ逮捕「時勢が悪かった」





新型コロナウイルス感染への警戒で、咳の理由をアピールするバッジなども利用されるようになった

 今年3月、京都府城陽市のコンビニエンスストアで重症急性呼吸器症候群(SARS)に感染しているように装い営業を妨害したとして、偽計業務妨害の疑いで逮捕された60代男性が不起訴処分になり、17日までに産経新聞の取材に応じた。男性は逮捕時から「『サーズ』とは言っていない」と主張、店内の防犯カメラに記録された音声が冤罪(えんざい)を晴らす証拠となった。新型コロナウイルスによって社会全体に不安感が増す中、何げない発言が思わぬ聞き間違いを招いたとみられる。

 男性は3月31日午後1時半ごろ、城陽市内のコンビニでチケットを発券し、支払いをする際に、パートの女性従業員に「僕はサーズですので消毒してください」などと言い、店の業務を妨害したとして、偽計業務妨害の容疑で京都府警に逮捕された。

 だが、男性や男性の弁護士によると、状況は異なる。

 当時、眼科医院で検査技師として働いていた男性。「事件」前、感染力が強い流行性角結膜炎にかかり、勤務先からは仕事を休むように言われた。

 当日、男性は現金を振り込むためにコンビニに来店。支払いの際、レジにいた女性店員に「僕、さわるとうつるので、これ(払い込みのためのチケットと紙幣)を消毒してください」と伝えた。店員は戸惑う表情を見せたが、「アルコールをかけて」と再度促すと応じたため、男性は用を済ませて店を出た。

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