【ワシントン=黒瀬悦成】米国防総省は17日、今後10年間の宇宙政策の指針となる政策文書「国防宇宙戦略」の概要を公表した。中国とロシアが宇宙の軍事利用を進めていると指摘し、宇宙における米国の優位を維持するため日本や欧州の同盟諸国との連携を強化していくとした。
文書は中露両国について「宇宙における米国の活動に対する最も深刻で差し迫った脅威」と位置づけ、両国が米軍の運用に不可欠な人工衛星の破壊のための兵器開発などを通じ、「米軍による地域紛争への介入の防止や、米軍の有効性の低下のための手段として宇宙の軍事利用を行っている」と批判した。
文書はまた、陸海空軍などに続く「第6の軍」である宇宙軍を創設したことで、宇宙領域での優位性の維持に向けた戦略的な道筋を明確にしたと指摘。その上で「包括的な軍事力の強化」「同盟国や民間企業との協力強化」など4項目の目標を打ち出した。
キテイ国防次官補代理(宇宙担当)は記者会見で、航空自衛隊が発足させた「宇宙作戦隊」に関し、「米国は同隊を支援している」と述べ、日本を含む同盟国との連携緊密化に期待を表明した。