【コロナ 次の一手】①千房ホールディングス 中井貫二社長 やれること全部「やったるで」





千房ホールディングスの中井貫二社長=6月5日、大阪市浪速区の千房ホールディングス本社(薩摩嘉克撮影)

 大阪では今年初めごろからインバウンド(訪日外国人客)が減り始め、3月までにほとんど来られなくなりました。うちではこれまでインバウンド売り上げがミナミで7割、全体でも2~3割を占めていたため、急激に業績が悪化しました。4月4日から臨時休業しましたが、街のにぎわいを守る飲食店としてじくじたる思いがありました。

 そこで休業告知のポスターにお好み焼きの写真と「負けへんで 絶対ひっくり返したるっ」というメッセージを入れたところ、賛同するミナミの他のお店にも同じ動きが広がりました。営業再開後はメッセージを「やったるで」に変えています。

 営業再開は大阪府が休業要請の一部を解除した5月16日に、旗艦店の「道頓堀店」から始めました。再開を急いだのは、街に店の明かりを灯すことがわれわれの存在意義だからです。

 お店では消毒やマスク着用、お客さま同士の距離の確保などを徹底していますがつらい思いもあります。お客さまは大切な人や従業員との会話も楽しみに来られるからです。安心してご来店いただくことが最優先ですが、その根幹はなくしてはいけません。

 大阪では多くの飲食店が閉店を余儀なくされ、営業再開後もこれからが正念場です。ニーズの多様化に合わせテークアウトやデリバリー、ウェブ予約などを進めます。EC(電子商取引)サイトでは冷凍食品などの販売が好調でイスラム教の戒律に対応した食品「ハラル」やベジタリアン向け、グルテンフリーの製品などを開発し、海外販売にも力を入れます。日本の魅力は変わらず、いつかはインバウンドが戻ります。今はやれることをすべてやっていくつもりです。(聞き手 山本考志)

 なかい・かんじ 慶応大卒、平成12年に野村証券入社。26年に千房ホールディングス。専務を経て30年9月から現職。大阪ミナミの事業者で構成する道頓堀商店会の副会長も務める。44歳。大阪府出身。

 

 新型コロナウイルスで打撃を受けている関西の飲食や観光の関連業界。どう立て直ていくか、経営者に聞く。



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