【ソウル=桜井紀雄】韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は22日、ボルトン米前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が23日に出版を予定している、初の米朝首脳会談に至る過程などトランプ政権の内幕を暴露した著書について「正確な事実を反映しておらず、相当部分、事実を大きく歪曲(わいきょく)している」と声明で批判した。
鄭氏は、相互信頼に基づく協議内容の一方的な公開は「外交の基本原則に違反し、今後、交渉の信義を深刻に傷つけるものだ」と主張。米側にこうした事態の防止措置を要求した。韓国側は21日に米国家安全保障会議(NSC)に声明内容を伝えたとしている。
鄭氏は2018年の米朝首脳会談前に米朝双方への特使を務めるなど、米朝外交に深くかかわってきた。
韓国メディアが独自入手したとして伝えた内容によると、ボルトン氏は著書で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長によるトランプ大統領への会談要請について「鄭氏が、先に金氏に提案したことを認めた」とし、米朝外交は「韓国の創造物だった」と指摘。非核化交渉を利用して、南北統一問題を進展させようとした文在寅(ムン・ジェイン)政権の言動を否定的に描いているとされる。
また、トランプ氏と金氏が昨年6月に南北軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で面会した際、米朝双方ともに文大統領の同行を拒否した内幕も詳細に記されているという。