河井夫妻、参院選前月に800万円配布 前法相「必要経費」と買収否認 公選法違反事件





衆院本会議を終え、記者団に囲まれながら議場を後にする河井克行前法相=17日午後、国会内(納冨康撮影)
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 昨年7月の参院選広島選挙区をめぐり、地元議員らに多額の現金を配ったとして、前法相で衆院議員、河井克行容疑者(57)=広島3区=と、妻で参院議員、案里容疑者(46)=広島選挙区=が東京地検特捜部に逮捕された公選法違反事件で、現金を配布した疑いのある94人の時期や金額など詳細な内容が24日、関係者への取材で分かった。夫妻は参院選前の昨年6月に月別で最多の約800万円を配布したとみられる。最高額は元広島県議会議長の奥原信也県議(77)で200万円だった。

 また、克行容疑者が特捜部の調べに「(選挙運動ではない)日々の政治活動に必要な経費を支払ったり、陣中見舞いを送ったりしただけだ」と供述していることも判明。一部の現金については配布を認めた上で、現金の趣旨を争うとみられる。特捜部は受領者ごとに現金の趣旨について慎重に調べを進めているもようだ。

 関係者によると、94人の多くが、案里容疑者の参院選の票の取りまとめの依頼と認識した上で、現金を受け取ったと認めているが、一部議員らは受領自体を否定したり、現金の趣旨を否定したりしている。

 関係者への取材によると、夫妻から現金を受領した疑いのある94人の内訳は当時の肩書で、広島県内の首長2人、県議14人、広島市議など県内の自治体議員24人、その他の後援会関係者など54人だった。1回の配布額は5万~100万円で、94人のうち21人が複数回受領していた疑いがあり、両容疑者が手渡した回数は計121回となる。

 現金が配布されたとみられる昨年3~8月のうち、月別で最も多かったのは6月の約800万円。3月が約500万円、4月が約600万円、5月が約350万円、7月が約300万円、8月が約30万円だった。

 奥原県議は24日、報道陣の取材に、200万円のうち50万円は使い、残る150万円は自身の政治団体の政治資金収支報告書に寄付として記載したと認めた。一方、150万円を受け取ったとされる広島県三原市の天満(てんま)祥典市長(73)は同日、報道陣に「(現金授受は)ない」と述べた。

 克行容疑者ら夫妻は昨年3~8月、参院選で案里容疑者の票の取りまとめを依頼するなどし、報酬として計約2570万円を地元議員や後援会関係者ら94人に渡した疑いが持たれている。



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