新規株式公開(IPO)が24日、約2カ月半ぶりに本格再開した。この日は3社が東京証券取引所マザーズに上場。新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒が続く中、ITベンチャーや通信販売を手掛ける会社など「ウィズコロナ(コロナとともに)」時代に強い業種から動き出した。
株式相場が動揺した3~4月、18社が上場を延期した。投資家の腰が引け、予定していた資金調達ができなくなる恐れが出てきたためだ。このうち6社は仕切り直す。延期前よりも売り出し株数や想定発行価格を抑えた動きもみられる。
24日に上場した3社は取引開始直後から買い注文が殺到。買い物情報サイト「トクバイ」を展開するロコガイドは公開価格の2・6倍の5310円で引け、2社は値がつかなかった。
実演販売による商品卸売りを手がけるコパ・コーポレーションの吉村泰助社長は同日の記者会見で「上場によって社会的信用を得たい。調達資金は減るが、テレワークで余った部屋を通販番組のスタジオに改装する費用などに充てたい」と語った。1部へのステップアップ上場を目指す考えも明らかにした。
今年のIPOは7月判明分までで42社と、前年同期より3社少ない。年間で大幅減は不可避だ。
SMBC日興証券の酒井久和第一公開引受部長は「これからIPOを目指す企業の中には、コロナ禍を踏まえた事業の再構築やIPO以外の資金調達手段を模索し始めたところもある」と話している。