研究費不正支出は5億円 京大霊長類研 調査委が認定





京都大霊長類研究所の松沢哲郎特別教授  

 京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)のチンパンジー用ケージの整備をめぐる研究費の不正使用疑惑で、京大は26日、チンパンジーの認知能力研究の第一人者として知られる元所長の松沢哲郎特別教授ら4人が公的研究費など約5億円を不正支出したとする調査結果を公表した。今後、松沢氏らの処分について検討するという。

 他に関与したのは同研究所の友永雅己教授と同大野生動物研究センターの平田聡教授、森村成樹特定准教授の3人。

 調査結果によると、京大は平成30年12月に同研究所の横領疑惑に関する情報提供を受けるなどし、昨年6月から学内に調査委員会を設置して調査を開始。23年度から令和元年8月末までに結ばれたチンパンジーを飼育するケージの整備に関わる契約100件などを調べたところ、過大な支出や架空取引、入札妨害など計34件、総額約5億円の不正使用を認定した。

 松沢氏らは、ケージ整備を通じて多額の赤字が発生した取引業者から補填(ほてん)を求められていたといい、不正支出分は全額、取引先業者に支払われ、私的流用はなかったという。

 松沢氏は、チンパンジー研究を通じて人間の認知や行動の起源を探り、「比較認知科学」と呼ばれる新しい研究分野を開拓。平成18~24年まで同研所長を務め、25年には文化功労者に選ばれている。



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